本研究の目的は、生活課題における地域社会の課題と、その課題に基づく地域社会の形成について示唆を得ることである。本稿では、地方紙「河北新報社」の2011年1月1日から2019年12月31日までの9年間の新聞記事を分析した。公共ルネサンス集合住宅の地名である「新井東」をキーワードに記事を抽出し、時系列にまとめ、その変遷と特徴を分析した。その結果、ルネッサンス期とコミュニティ形成期における被災者の生活課題に関する文脈の2つに整理することができた。ルネッサンスとコミュニティ形成は、相互に影響しあいながら進展してきたと理解できる。この相互作用により、被災者の生活課題はより複雑なものに変化していく可能性がある。そこで、特に東日本大震災からの復興と地域振興が同時に進行している地域においては、被災者の生活課題を中心とした新たな結束力のあるコミュニティ形成が、ルネッサンス支援を効果的に行うために必要であることを明らかにしました。
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下山田鮎美, 中江秀幸, 相馬正之, 稲垣成昭, 萩野寛雄