[目的]本研究は,適切な足趾把持力の測定肢位を検討するため,低座面高での端坐位姿勢が足趾把持力と足趾把持力発揮時の筋活動量に及ぼす影響を検討した。[対象・方法]健常成人女性20名を対象とした。足趾把持力の測定肢位は,股・膝関節90度屈曲位座位姿勢および20cm 台に着座した低座面高での端坐位姿勢の2条件とした。測定項目は,足趾把持力および足趾把持力発揮時の大腿直筋と大腿二頭筋長頭および前脛骨筋と腓腹筋内側頭の筋活動量を算出した。[結果]足趾把持力は,股・膝関節90度屈曲位座位姿勢に比べ低座面高での端坐位姿勢が有意に低値を示した。また,低座面高での端坐位姿勢における足趾把持力発揮時の筋活動は,大腿直筋および前脛骨筋の筋活動が,股・膝関節90度屈曲位座位姿勢に比べ有意に高値を示した。[結語]このことから低座面高での端坐位姿勢は,足趾把持力発揮時に拮抗筋の筋活動量が増加し,筋力発揮を妨げることで,足趾把持力が低値を示すことが示唆された。
10(2)81-84
相馬 正之, 村田 伸, 大田尾 浩, 甲斐 義浩, 中江 秀幸, 佐藤 洋介, 村田 潤