身体活動が低下しやすい後期高齢者は,身体機能低下や要介護状態に陥りやすい。その身体活動には運動や余暇活動だけではなく家庭での役割も含まれることから男女で異なり,加齢的変化にも性差があると言われている。そこで今回,後期高齢者の男性12名と女性12名を対象とし,速度や効率などの歩行能力とADL能力や身体活動量といった身体活動能力について性別で比較検討した。その結果,全ての変数において男女間で有意差は認められなかったが,平均値では女性の歩行能力が高く,ADL能力や1日の身体活動量は男女で同程度,老研式で示されるADLよりも高度な活動は男性の方が高値であった。通所サービス利用している後期高齢者は,歩行能力やADL能力が良好であっても身体活動量が低いこと,男性は歩行速度やADL能力が良好であっても歩行効率が低い可能性があること,女性では歩行能力に見合うような身体活動の量や内容ともに行われていない可能性が示唆された。
第25巻 p.19-23
中江秀幸・相馬正之・坂上尚穂