坐位姿勢における膝の角度変化に焦点を当て,股・膝関節 90 度屈曲位,股関節 90 度屈曲・膝伸展坐位と先行研究で報告されている立位姿勢での足趾把持力を比較し,最大筋力の発揮できる肢位および再現性の観点から測定肢位を検討した。対象は,健常成人女 20 名(平均年齢 20.8±1.0 歳,平均伸長 159.2±5.4cm,平均体重 51.9±5.3kg)とした。測定項目は,利き足の足趾把持力とした。足趾把持力の測定肢位は,坐位における股・膝関節 90 度屈曲位姿勢(以下,股・膝
関節 90 度屈曲位坐位姿勢)と股関節 90 度屈曲・膝伸展位姿勢(以下,股関節 90 度屈曲・膝伸展位座位姿勢)および立位姿勢の 3 条件とした。また別日に同様の手順で足趾把持力を測定した。その結果,足趾把持力は, 股・膝関節 90 度屈曲位坐位姿勢が平均 19.4±3.3kg, 股関節 90 度屈曲・膝伸展位坐位姿勢が平均 16.7±2.8kg,立位姿勢が平均 8.6±2.6kg であった。反復測定分散分析の結果,3 群間に有意な群間差(が認められた。多重比較検定の結果,股関節 90 度屈曲・膝伸展位坐位姿勢での足趾把持力は,股・膝関節 90 度屈曲位坐位姿勢,立位姿勢より有意に低値を示した
(p<0.05)。級内相関係数(1,1)は,股・膝関節 90 度屈曲位坐位姿勢が r=0.813,股関節 90 度屈曲・膝伸展位坐位姿勢が r=0.494,立位姿勢が r=0.780 であった。
相馬正之,村田 伸,甲斐 義浩,中江秀幸,佐藤洋介