沿岸部で津波による大きな被害を受けた S 町において,震災以降,2 年を経過した現在,仮設住宅居住者と自宅居住者の運動機能を調査し,震災後の住居状況の違いによる,運動機能の差を検討した。対象は 42 名(男 11 名,女 31 名),平均年齢 68.9±7.52 歳であった。その結果,参加者のベースラインとして,年齢や性別は住居状況による差は見られなかった。質問紙法による LSA や高齢者チェックリスト,MFS に差は見られなかった。右膝関節伸展筋力は仮設住宅居住者が 16.15%BW,自宅居住者は 23.90%BW で p=0.060。左膝関節伸展筋力は,仮設住宅居住者が 15.54%BW,自宅居住者は 24.17%BW で p=0.036 となり膝伸筋において有意な差を認めた。しかし,股関節屈曲筋力,膝関節屈曲筋力,及び足関節背屈筋力,片足立位時間,CS30,FRT,2 ステップテスト,BBSに差は認められなかった。
佐藤啓壮,黒木 薫,中江秀幸,田邊素子,齋木しゅう子