【目的】在宅パーキンソン病患者(以下,PD)を対象に介護保険のリハサービスおよびセルフエクササイズ(以下,自主練習)の実施状況について数名のPD患者に対して面接調査を行って現状と課題を見出し,その結果を踏まえて郵送法アンケート調査を実施した。
【方法】(Step1)A市で開催されたPD研修会に参加した15名(年齢70.1±6.0歳,罹患12.1±6.8年,Yahr 1~4)に介護保険の利用状況および自主練習の実施状況,生活場面における主訴について面接調査を行った。(Step2)Step1の調査結果を踏まえて作成した無記名式アンケートをPD友の会B県支部会員に郵送法調査を行った。Step1では研究の趣旨と内容を説明し,Step2ではアンケート用紙の返送をもって同意を得たものとした。なお,所属機関倫理委員会の承認(2010-121)を受けた。
【結果】(Step1)要介護認定者は15名中8名,サービス利用者は5名(33.3%)であった。自主練習は7名が実施していたが,専門職からの指導経験は6名であった。 (Step2)アンケート回収率57.2%(91/159通)であった(年齢72.4±7.4歳,罹患11.3±6.3年,Yahr 1~5)。要介護認定者75.8%,サービス利用者67.0%,自主練習実施率62.6%,専門職からの指導経験48.4%であった。要介護認定および自主練習の有無にて群間比較した結果,要介護認定の有無では「力が入れづらい」「とっさの動きが困難」の回答数および罹患期間で有意差を認めた。複数回答による自主練習の種類は,柔軟体操(28件)や歩行(25件)が多く,二重認知課題を避ける(4件),動作開始前にイメージ(2件),階段(11件)や線を跨ぐ(2件)といったPDに有用といわれる方略の回答は少数であった。
【考察】Step2の結果から要介護認定者75.8%,サービス利用者67.0%,自主練習実施率62.6%であり,3割強のPDがリハの機会確保が不十分の可能性が考えられる。また,専門職からの運動療法指導経験は48.4%と低く,廃用症候群や誤用などの危険性が危惧される。要介護認定の有無で比較した結果から「力が入れづらい」「とっさの動きが困難」といった主訴や罹患期間が要介護認定申請の動機・要因となる可能性が示唆されたものと考える。