クリニカル・クラークシップを部分的に導入し構築したクリニカル・クラークシップ型臨床実習で学んだ学生の学習達成度の自己評価をもとに,その教育効果を検討した.学生は,クリニカル・クラークシップ型臨床実習の特徴は次の5つである.①見学・模倣・実施という3段階のステップを踏みながら学ぶ,②症例を固定せず,複数の症例から学ぶ,③臨床実践の中で臨床指導者から直接指導を受ける,④事前に症例に関する情報を提示される,⑤記録枚数を制限し,記録課題に追われず,臨床経験を重視する実習である,これらクリニカル・クラークシップ型臨床実習の特性が学生の学びにどのような影響をもたらしたのかを明らかにした.結果として,クリニカル・クラークシップ型臨床実習が,学生の能力に応じ小さな段階を踏みながら学ぶことができる点や経験のないことを考えるのではなく,どのように考えるかを臨床実習指導者に臨床の現場で見本を示していただくことにより,学生の学びやすさにつながったことが示唆された.またクリニカル・クラークシップ型臨床実習では症例にとっても何らかの良い影響がもたらされたのではないかと学生が認識することにつながったことが示唆された.
総p.82 pp.51-52
紀國谷恵子 佐藤善久