作業療法士養成を担う本専攻では,臨床教育を特に重視し,指定規則大きく上回る1080時間の臨床実習を導入してきた.しかし,学科完成年度を契機に学内科目を含む臨床教育の見直しを行い,実習回数および実習期間の枠組みは変えずに,臨床実習の内容や実施方法を変えた.この際われわれは,①作業療法の良さを学生が臨床場面で実体験し,②常に対象者中心の対応ができることを重視した.これらのことを実践するために,③4回の実習を通し,作業療法技術の実施経験から作業療法実施までを段階的に学ぶことのできるような積み上げ型学習にすることや,④クリニカル・クラークシップ型の臨床実習(以下CCS型実習)を導入した.本専攻では,実習指導手引き(以下手引き)の全面改定を行い,学習目標や実習形態等の改訂点を明確に示した.さらに,実習指導者が本学の考えるCCS型実習でスムーズに指導できるよう,手引きにはスケジュールモデルや記録・課題等についての具体例を多く掲載し,指導者会議では,CCSに精通した臨床教育指導者による講演を行い,さらに,会議欠席者には電話等によりCCS型実習の説明を行うなど配慮し,その周知に努めた.CCS型評価実習Ⅰについて,指導に携わった臨床教育指導者(以下指導者)が,CCS型実習のどの面が優れている(あるいは劣っている)と思ったのか,また,従来の実習と比較について報告した.
紀國谷恵子 佐藤善久 渥美惠美