本研究の目的は腰痛に影響する日常生活動作を提示した時の脳活動と腰痛および恐怖回避思考との関
連について大学生男女で検討することである。対象は大学生50名である。腰痛はPain DETECT日本語
版(PDQ-J),恐怖回避思考はFABQ-Jを使用した。脳活動は,腰痛に有害な動作(Harmful)と無害な動
作(Harmless)の画像を提示し,前頭前皮質をfNIRSで計測した。男性,女性の各グループのOxyHb と
PDQ-Jの「過去4週間の最も強い痛み」およびFABQ-Jについて相関分析を行った。Harmful条件では,女
性グループで前頭極・背外側前頭前野領域に腰痛得点と有意な負の相関がみられた。男性では背外側前頭前
野領域に有意な正の相関がみられた。Harmless条件では,女性では有意な相関はみられず,男性グループ
でのみ背外側前頭前野領域にて有意な負の相関がみられた。腰痛有害動作では男性に比べ女性の方が,抑制
的な脳活動を示す部位が多く存在し,腰痛症状の男女による差を検討できる可能性がある。
pp.7-13
田邊素子、庭野賀津子