々はこれまで青年期成人において乳児の表情視聴時の表情種別による脳血流反応の差異を検討してきた。しかし、表情の判断については乳児のみの検討であり成人の表情については検討していない。一方、育児ストレスは心理的な不安傾向との関連が指摘されている。そこで、乳児・成人双方の異なる顔表情を提示し、青年期成人にとって顔表情の読み取り時の脳血流反応を計測し、成人・乳児の表情への反応が心理的な特性である不安傾向と関連するかどうかを検討した。その結果、乳児と成人の顔表情に対し、不安傾向の高いものは成人より乳児の顔表情に脳血流反応を示す傾向があった。脳血流反応は主に聴覚・言語野および顔認知に関わる領域であった。
田邊素子、庭野賀津子