育児経験のない若年の成人におけるIDSの表出に関する研究は少ない。また、成人のIDS表出中の脳活動についても十分な検証はされていない。発話課題の遂行中に脳活動の計測をできる方法の一つとして、NIRS(近赤外線分光法:near-infrared spectros- copy)がある。NIRSは生体透過性に優れた近赤外光を用いて大脳皮質の血行動態を計測することができ、非侵襲性と低拘束性により近年急速に普及してきている。そこで、本研究は、育児経験のない若年の大学生を対象として、乳児の啼泣・非啼泣場面におけるIDS表出時の脳機能計測と発話の記録をし、(1)育児未経験の若年成人がIDSを表出する際の脳血流はどのような変化を示すか (2)育児未経験の若年者が表出するIDSは、先行研究における母親のIDSと同様の音響学的および言語学的特徴を示すかについて調査し、検討した。
庭野賀津子、田邊素子、佐藤洋介、窪田美穂子