学生対象のPCAGIP(Person-Centered Approach Group Incident Process)法において、エンパワーメント効果が得られるかどうか、役割の異なる「金魚」と「金魚鉢」を比較して検討することを目的とした。量的分析より、学生対象のPCAGIP法は養護教諭対象のPCAGIP法と同様に、1回でもエンパワーメント効果があること、「金魚」と「金魚鉢」のエンパワーメント効果量に有意な差がないことが示された。質的分析より、役割や体験は異なっていても、言語的及び非言語的な交流の中で、受容されたり、逆に他者を支える経験(グループの「相互作用」)を通じ、エンパワーメントの概念の要素である「支えられ感」や「自尊感情」、「自己効力感」が高まることが示唆された。