「農村女性の家族内役割分担と産直―宮城県田尻町通木地区の事例―」

農村女性の労働負担は大きいにもかかわらず、その家族内地位は低いものにとどまっている。その中で、女性が産直により現金収入を得ることは、家族経営という形態をとる日本の農村家族の中で女性の発言力を強め、彼女たちの地位向上に結びつくのではないか、といった議論にまで発展している。しかし、女性が家事労働と農業労働との結節点であるという点に着目するなら、産直と「女性の自立」とを簡単に結びつけることはできない。特に介護という特別な位置づけがされている家事を考慮する必要がある。
pp.195-214

『東北社会学研究』第68号、東北社会学研究会