宮城県田尻町の産直農家31戸55名を対象に、外部要因に着目するライフコース論的発想と家族周期的発想の双方を併用した分析枠組みに基づき、農家女性の担う農業労働と育児労働の担い手がいかに変化してきたかを、分析している。結果、対象農家の産直の種類および育児労働の担当者が、各農家の家族周期段階と外部の農業事情とのタイミングと密接に関連している点が明らかにされた。本稿の分析枠組みは、さまざまに転変する外部要因の影響を受けながら一生活単位として機能する農家家族を分析する新しい家族変動論の手がかりを提供している。