本研究の目的は、東日本大震災直後から復興過程における被災者が直面した生活の実態と健康課題を明らかにすることである。対象は、(住宅を失うなど大きな津波被害があったため)仮設住宅で生活している方々と、(大きな被害はなかったため、被災後も)自宅で生活している被災者である。 調査内容は、(生活および健康への震災の影響についての)インタビュー、活動量(測定)、(コミュニティ意識尺度)アンケート、体組成、健康関連QOLアンケート、である。
調査の結果、震災後、治療薬を内服できなかったケースや、睡眠障害がいまでも続いているケース、外出や人との交流の減少、気力低下など、復興の遅れの問題と、高齢者問題が重複し、健康問題が深刻化していることが示唆された。また、仮設住宅居住者は、活動量低下による生活不活発病のリスクが高いことが示唆された。
ゆえに、仮設住宅における運動支援などのボランティア活動の重要性が明らかになった。
pp.93-108
富澤弥生、一ノ瀬まきの、及川珠美、小野木弘志、鈴木千明、中村令子、三澤寿美