2011年の東日本大震災後、仮設住宅での5年間継続した看護大学教員と学生による健康支援ボランティア活動について、被災者の語りから検討した効果を明らかにすることを研究目的として、仮設住宅に居住し、健康支援ボランティア活動の対象となっている被災者を対象にインタビュー調査を行い、質的に分析した。看護大学教員と学生による仮設住宅での5年間の支援の効果についてのカテゴリーとして、<健康に関する支援で安心感や嬉しさを得た>、<継続した支援により健康習慣が定着した>、<支援者との会話が楽しかった>、<定期的な訪問を待つ時間も楽しみだった>、<経過を知っている支援者と感情の共有ができた>の5つが抽出された。本研究における支援は、血圧や運動、薬や症状に関する相談など、看護大学教員が行う健康に関する専門的な内容であったため、被災者は安心感や嬉しさを得ていたと考えられた。これらの支援を長期間継続することで、よい健康習慣が定着できたことから、支援を継続する重要性が明らかになり、震災後は早期の血圧計配布など物的支援も必要であると考えられた。
また、支援者との会話は楽しいものであること、訪問を待つ時間でさえも楽しみになること、どちらも看護学生が重要な役割を果たしていること、仮設住宅への訪問者が少ない現状が影響し、支援者の訪問が重要であることが、被災者の語りから明らかになった。
さらに、経過を知っている支援者となら被災者は感情の共有ができることが明らかになり、震災後、定期的な支援を継続する重要性が示唆された。
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富澤弥生・一ノ瀬まきの・鈴木千明・中村令子・三澤寿美