東日本大震災後の医薬品供給の経験を明らかにすることで、災害発災時における適切な医薬品流通の確保を提言することを目的とした。387名からの回答が得られ、東日本大震災時には医薬品の不足よりもガソリンなどの業務上必要な物資の不足や交通網、情報網の混乱に苦慮したことが明らかとなった。会社の災害対応マニュアルの把握状況については震災前後で好転しているものの、世代間で把握状況に差があることが明らかとなった。また自由記述の結果から、震災時の医薬品供給体制が整いつつあるものの、製薬会社、医薬品卸会社、医療機関の協同に関する物足りなさが浮き彫りとなり、今回の研究結果をもとにより実践的な協同計画について立案する必要性が示唆された。
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小野木弘志、富澤弥生、一ノ瀬まきの、鈴木千明、中村令子、三澤寿美