目的は、東日本大震災における被災高齢者の生活への長期的な影響について検討することであり、対象は、2011年東日本大震災で震度6強、津波被害なく、家屋一部損壊の被害があった被災高齢者である。データ収集は、震災による生活への影響についてなど半構造化インタビュー調査を行い、質的帰納的方法で分析した。カテゴリーは、<睡眠への影響>、<活動への影響>、<コミュニケーションへの影響>、<生きがいへの影響>の4つであった。東日本大震災は、広域で複合的な災害であったため、知り合いを亡くしたショックや、いろいろな形の被害が想定され、津波被害のなかった地域の者同士でも、話ができない期間が続き、心から楽しめないなど精神的な影響が数年続くことが明らかになった。また、震災の経験が活動量を増やすきっかけになり得ること、自分の人生について深く考える、人生の目標ができる、などの前向きな影響もあることが明らかになった。
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富澤弥生、中村令子、一ノ瀬まきの、鈴木千明、三澤寿美