目的は、発達障害のあるこどもの母親が自分の人生において子育てをどのように意味づけているかについて明らかにすることであり、対象は発達障害のあるこどもの母親、データ収集は、インタビューガイドを用いた半構成的面接法で行い、質問項目は、自分の人生における子育ての意味などであり、質的記述的方法で分析した。カテゴリーとして、≪子育ての勉強から得たもの≫、≪子育てを通した出会いに感謝≫、≪こどもは自分の人生そのもの≫、≪自分の人生に与えられた課題≫、≪母親としての幸せ≫、≪子育ての苦悩と葛藤≫の6つが抽出された。まとめとして、1.母親は、発達障害についての勉強や子育ての経験から多くのことを得て、価値観の変化をもたらし、 周囲の人々との出会いやサポートに感謝の念を抱いていることが明らかになった。2.母親にとってこどもの存在は非常に大きいものであり、発達障害のあるこどもをもったことを運命や与えられた課題と捉えていることが明らかになった。3.母親は発達障害のあるこどもの子育てにおいて、多くの苦悩と葛藤に直面しているため、支援者は、母親の頑張りを認め、母親の思いを把握し、母親同士で思いを共有できる環境を提供する支援が重要であると考えられた。4.母親が葛藤を抱えている母親同士で思いを共有できる親の会への参加などの環境を提供する支援が重要であると考えられた。
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富澤弥生、鈴木千明