小児実習の指導方法を検討するため、小児看護学実習における重症心身障害児施設実習を終えた学生が、「障害」をどのようにとらえていたかを明らかにすることを目的とした。テキストマイニングというツールを用いることで多面的に分析した。4年生看護系大学で2011年~2013年の3年間に小児看護学実習を終えた学生212名のうち、研究協力の同意を得られた172名の実習記録の一部について、「障害とは」を簡潔に自分の言葉で表現するよう課題を示しており、その部分を分析対象とした。分析には、Text Mining Studio3.1を用いた。なお、データは分かち書きおよび係り受けの処理を行った。解析データの総行数は292であり、述べ単語数は1574であった。学生が「障害」を表現する際、「状態」はPositiveとNegativeの両価的に使用されており、また他の単語との強い共起関係はみられず、出現頻度としても多かったことから、多様な表現に使用されていると考えられた。また、学生は「障害」を表現する場合に、必ずしも「人」を直接的に関連させて意味付けているわけではないことが推察された。さらに、多くの学生は「障害」を肯定的に認識していると推察された。これは、対象学生が、見学だけではなく、食事や排泄の援助を実践したことや実習指導者の看護者としての姿勢が大きく影響し、学生が「障害」を肯定的に捉えていた要因であると示唆された。重症心身障害児施設実習において、学生が援助に参加する機会を増やし、カンファレンスや面接、実習記録などにより、振り返りの機会を意図的に設けることが、情意領域の学びを深化させるのに大変効果的であると示唆された。
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鈴木千明、富澤弥生