目的は、発達障害のあるこどもの母親が、保護者支援を受ける効果について明らかにすることであり、方法は、発達障害のあるこどもの母親が保護者支援であるペアレントトレーニングを受けた後に、一人20分程度自由に語った感想を逐語録に起こし、質的帰納的方法で分析した。さらに、各カテゴリーのデータ数を単純集計し、効果の傾向についても分析した。母親に関する効果のカテゴリーは、<母親の気持ちの変化(77)>、<子育てについての新たな気づき(75)>、<母親の行動の変化(59)>、<仲間との出会い(28)>、<過去の子育ての反省(24)>の5つであり、データ数は計263であった。
つぎに、こどもに関する効果のカテゴリーは、<こどもの行動の変化(79)>、<こどもの気持ちの変化(6)>の2つであり、データ数は計85であった。
さらに、<親子関係の改善(30)>、<きょうだいの変化(7)>、<父親の変化(6)>、<家族関係への影響(6)>、<家族以外への影響(4)>があり、保護者支援は、母親とこどもだけでなく、きょうだいや父親、さらに家族以外へも影響がみられ、周りの人々にも効果があることが示唆された。
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富澤弥生、鈴木千明