その他

基本情報

氏名 富澤 弥生
氏名(カナ) トミザワ ヤヨイ
氏名(英語) Tomizawa Yayoi
所属 健康科学部 保健看護学科
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル・テーマ

「復興過程における被災住民の生活の実態と健康課題に関する研究」

単著・共著の別

共著

発行又は発表の年月

201502

発表学会等の名称

文部科学省私立大学戦略的基盤形成支援事業(平成24年度~28年度)「東日本大震災を契機とする地域の健康福祉システムの再構築」第6回全体研究会、東北福祉大学ステーションキャンパス

概要

目的は、2011年の東日本大震災直後から復興過程における被災者が直面した生活の実態と健康課題を明らかにすることであり、調査対象は、住宅を失うなど大きな津波被害があったため仮設住宅で生活し、かつ、本チームが継続的に健康支援ボランティアを行っている地域の被災高齢者(以下、仮設住宅居住者)である。さらに、大きな被害はなかったため被災後も自宅で生活している被災高齢者(以下、自宅居住者)も対象とした。
調査内容は、①生活および健康への震災の影響についてのインタビュー、②活動量(運動量、歩数、中高強度身体活動量、総消費量)、③体組成計測(身長、体重、体脂肪率、BMIなど)、④コミュニティ意識尺度、⑤健康関連QOL(SF-36v2日本語版)、⑥栄養診断(塩分量、エネルギー量、など)である。結果として、仮設住宅で3年以上生活している間に、転倒・持病の悪化・視力の悪化などの健康問題が起こっている高齢者の事例がみられた。「もう気力ない」、「早くあの世に行きたいだけ」などの発言もみられ、仕事や趣味を失い、外出や人との交流が減少するなどの生活の問題が明らかになった。運動支援などのボランティア活動の重要性が示唆された。一方、自宅居住者でも、知り合いを失くしたり、「心から笑えるようになったのは、去年から」や、「やりたいことができる身体でいたい」など、震災による様々な影響がみられた。自宅居住者は厚生労働省の報告とほぼ同様であるが、仮設住宅居住者では大きく下回り、2012年の釜石市の仮設居住者の調査報告の4517歩より、さらに低い結果となり、生活不活発病の問題が示唆された。仮設住宅居住者は、連帯感を強く感じているが、地域の世話を引き受けるゆとりはないこと、行政への働きかけや住民の努力が必要と考え、自己決定しようとする姿勢が表れているが、地域の環境整備は行政の責任と考えている結果が得られた。震災後の生活環境の変化に自分たちではどうしようもないという気持ちになっていることが示唆された。
富澤弥生、一ノ瀬まきの、鈴木千明、中村令子、小野木弘志、三澤寿美