目的は、避難所と仮設住宅における健康支援ボランティア活動の実際を振り返り、その有用性について明らかにすることであり、方法は、研究協力の承諾の得られた学生30名にグループインタビューを行い、インタビュー内容とこれまでの活動記録を質的帰納的に分析した。避難所では、物資の不足が問題であり、健康支援以外にも、現地のニーズに合わせた幅広い支援活動が必要とされた。大学組織の理解と協力により、大学所有の物品や自動車を使用できたこと、被害の大きかった地域でも日帰りの活動ができたことは、被災地にある大学の大きなメリットであったと考えられる。また、看護師・医師・薬剤師など資格のある教員が専門性をいかして、さまざまな健康相談や健康教室を開催できることはこの活動の強みであると考える。さらに、効果のあったケースをみると、看護学生が支援対象者に及ぼす影響は大きく、学生にとっても、現場だからこそ得られる貴重な学びを得て、看護のやりがいを感じていることから、支援対象者と支援者が相互に影響していることが明らかになった。
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小野木弘志、一ノ瀬まきの、鈴木千明、富澤弥生、中村令子、三澤寿美