本研究において、本学の臨地における公衆衛生看護学実習の代替として実施した完全オンライン実習について、学生の不安や戸惑いを明らかにすることを目的とした。6名の保健師教育課程の学生に半構造化面接を実施し、その内容を質的記述的に分析した。完全オンライン実習における学生の不安や戸惑いとして、【オンライン実習に変更になったことによる実習方法への戸惑い】【五感を使った実習を体験できないことによる学びの抽象化への不安】【臨地での実践体験・フィードバックがないことによる実践への不安】【臨地での実習経験ができないことによる保健師として働く際の不安】【メンバーや教員に対面できないことによるサポートの得にくさへの戸惑い】があることが明らかになった。実習方法がオンラインに変更となり、学生が実習先の保健師や住民と場の共有ができないことによる学びの限界があった。また、オンライン実習方法を初めて体験したことによる実習の進めにくさが明らかになった。今後、感染症等の流行により実習方法を完全オンラインに変更する際、本研究で明らかになった学生の不安や戸惑いを考慮した実習内容や方法を導入し、学生の学びを担保する必要がある。加えて、新任保健師の教育内容や方法も考慮していく必要がある。
pp.39-54
共同執筆につき本人担当部分抽出不可能
渥美綾子、佐藤晃子、下山田鮎美