現行の小学校音楽科学習指導要領から、鑑賞の評価の観点が変わり、それにより複数の観点の仕分けが求められるようになった。そもそも、これまでの「感想を書いてそれで評価される」ということが問題であり、鑑賞教育は言語化しにくい部分であることも課題であると考えられる。そこで、学びの観点に着目した鑑賞指導の方向性について考える。題材は、サン=サーンス作曲の組曲「動物の謝肉祭」を用い、大学のオンライン授業で実践を行った。そして、(a)学生のクイズへの解答の比較、(b)解答の理由と〔共通事項〕との関連性について、(c)テキストマイニングの活用、以上3つの観点から分析を行った。その結果、(1)「楽曲の解釈にハズレはない」ということ、(2)聴覚を使用し〔共通事項〕を活用すること、(3)明確な観点を持った発問をすること、(4)思ったことを共有すること、以上4点の考察が得られた。そして、これらをもとに「教材研究」と「教員の見方・考え方」の2つの観点による提言を得た。
総p.160 pp.143-160