学習者自身の声質を模倣の音声とする歌唱練習の効果ー 「本人の声質のまま音高の変更が可能な音響システム」を利用した音声表現を通してー

日本音楽表現学会第22回（バッカスの宴）大会（山梨大学）

音高を合わせて歌うためには、模範として示された音高に自分の発声する音高を合わせて歌うピッチマッチ練習が考えられるが、苦手な学習者にとっては音高の違いを判断することが難しい。このような場合は、情報機器を活用して自身の声質を利用して模範の音声とする方法が有効である。音高を合わせて歌うための練習では、学習者自身で音高が合っているか分かる感覚が重要と言われているが、これまでの研究では、指導者が客観的に練習を評価したものにとどまっていた。そこで本研究では、練習を行った学習者自身が感じる上達感に焦点を当てて評価を行うことを目的とした。
本研究で使用した「本人の声質のまま音高の変更が可能な音響システム」は、聴き慣れた自身の声質を利用できるため、模範の音声の影響を受けにくいと考えられた。自分の発声に注目できるため、自ら歌唱練習の上達感を確認しながら練習できるツールとなることが示唆された。

佐藤和貴・佐藤克美・渡会純一・田中悠一郎