本研究は,認知症疾患医療センターで実施された認知症の本人と家族の一体的支援プログラム(一体的支援プログラム)の新規開設に向けた議論のプロセスを整理した.研究対象は,A県B市の認知症疾患医療センターが主催の本プログラムのコアメンバー会議(コア会議)と当日スタッフ会議の議事録であった.コア会議には,近隣3か所の地域包括支援センター(包括)やプログラムの運営経験者等が参加した.議論の内容は,【運営方針】【参加対象の条件】【広報方法】【事前アセスメント】【スタッフの役割】【会場設営・備品】【スタッフの対応】【参加者の様子】であった.これらの議論は,順序立てて一度で完結したのではなく,複数回のコア会議と当日スタッフ会議をまたぎ,意見の対立なども含めて積み重ねる形で継続的に検討された.また,関係機関の意見を反映した柔軟な調整が行われた背景には,コア会議の定期開催に加え,包括職員や一体的支援プログラム運営経験者がそれぞれの立場や関与の視点を踏まえて,参加者像を具体的に想起し,意見を交わしたことが寄与したと考えられる.