統合失調症の家族に対する心理教育(Family Psycho Education:以下FPE)は,そのエビデンスが明確であることから,科学的根拠に基づく心理社会的援助プログラム(Evidence-Based Practice:EBP)とされている。
FPEは、家族が病気への理解を深めること、そして対処法を考えること、この2つの方法による家族のエンパワメントを目的としている。その結果、家族の当事者への接し方が安定することにより、病気の再発率が減少する再発予防というエビデンスを示すことができている。
ここでは、東北福祉大学せんだんホスピタル(以下せんだんホスピタル)における実践を通して、FPEの効果と課題について検討を加えた。FPEとりわけグループセッションへの参加は、家族に「選択肢の増大」・「ゆとりの増大」そして「変化の場所がわかる」という変化をもたらし、こうした変化が参加者のエンパワメントにつながっているように思われた。他方、その課題としては①平日開催による参加者層の限定②FPEへの参加自体にサポートが必要な場合もあること③提供された情報をいかに個別化するか④フォローアップのあり方⑤ドロップアウト防止をあげた。
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石黒亨 西尾雅明