実習前に何を準備したらよいか
精神保健福祉士援助実習を有意義なものとするために、事前に準備しておくべきことがいくつかあります。
事前学習の目的は、現場に行かずとも学べることはできる限り学んでおき、もって現場に行ったからこその学びができるようにすることです。事前にすべてのことを理解することはとうてい無理なことなので、せめて基礎的な知識をもっておくこと、そしてその過程で生じた疑問点を整理しておくことが大切です。
実習のねらいを明確化するための実習計画の作成もかかせません。これはほかの誰のものでもない「自分の実習」を経験するため、すなわち実習の個別化のために必要な取組みとなります。
事前訪問は、実習指導者との「顔合わせ」「波長合わせ」「実習内容のすり合わせ」をおこなう貴重な機会となります。実習における
座学と実習のちがい
- 学ぶ姿勢:実習においては積極的に学ぶ姿勢が強く求められます。そして、何が積極性を生むのかというと、以下の点が関連しているのと思われます。
- 誰が問いを作るか:実習では主体は学生にあり、「問いを発見する力」が求められ、疑問をもつことは理解の深化につながります。
- 学び方:座学では教員が発信する情報を学生が「覚える」(知識量を増やす)ことが求められがちですが、対して実習においては「関与と観察をとおした考察する」ことが必要となります。関与なき実習は、見学に他なりません。
「答えはひとつではない」ことを実感する精神保健福祉援助実習においても、座学で学んだ基礎知識が、実際に現場でどのように活用されているのかについて学ぶことが大切となります。精神障害をあわせ持つということも決して括弧にくくれることではありません。個別性が大切ということは、座学で聞いたことがあるはずですが、その個別性とは具体的に何をさすことなのか例示できるようになること、その重要性について実感をもって理解することが実習における学ぶことではないでしょうか。畢竟、実習における学びとは「答えはひとつではないことに気づくこと」と言えます。