本研究では、小学生児童を対象として、避難所を模擬した体育館での睡眠時における睡眠、気温と湿度、および寝床内気候の関連を検討した。対象は13人の小学生児童であり、夏季に1泊2日で行われた小学校での体育館での滞在行事おいて、滞在前、滞在時、滞在後にデータ取得を行った。睡眠のデータ取得にはアクチグラフを用い、胸部および足部の寝床内気候、および睡眠感と温熱感の主観評価のデータ取得を行った。体育館滞在時の気温は、滞在前に比べて消灯後3時間は有意に高値、最後の100分間は滞在後よりも優位に低値を示した。湿度は、滞在後の値に比べて、滞在前と滞在時は有意に高値を示した。体育館滞在時の睡眠効率は43±4.8%と低値を示し、消灯後3時間15分の睡眠時間は顕著に短縮した。体育館滞在時における消灯時間中の胸部寝床内温度の上昇は、他の条件よりも約30分、有意に遅延した。主観評価では、85%の児童が寝袋から出て寝ていたと回答し、77%が睡眠が妨げられたと回答した。これらの結果は、体育館での睡眠時には、寝袋から出て眠ろうとすることで、胸部寝床内気候の上昇が遅れることから、睡眠が妨げられることを示唆するものである。