本研究では、幼児と母親の夏季の睡眠温熱環境に関する実態を調査し、問題点を明らかにすることを目的とした。仙台市内および近郊に住む幼稚園児とその母親195組を対象とし、7月下旬~8月に週に1度、連続4回の調査と実測を行った。アンケート用紙と温湿度計を配布し、就寝前と起床時に寝室の温度および相対湿度を記録してもらった。就寝前の外気温が最も高い週では、寝室温度も30℃以上が30%と他の週より高かった。寝室での冷房等の空調機器の使用率、就寝後の空調機器の使用の変更は、最も外気温の高い週で他の週より増加した。母親と母親から見た幼児の発汗、母親の睡眠感で浅い側の申告は、外気温の高い週で増加した。母親から見た幼児の睡眠時の発汗は、母親の発汗より増加していた。夏の高温多湿環境では、寝室での空調機器の使用率は増加しても、使用方法が不適切なため母親の睡眠が妨げられ、幼児の睡眠時の温熱ストレスは増加している可能性が考えられた。
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水野一枝、水野康、白川修一郎