「避難所を想定した条件が筋硬度と睡眠に及ぼす影響について」（査読有）

本研究の目的は、避難所を想定した睡眠条件において、筋硬度および入眠感への影響を明らかにすることである。被験者は健康な男子大学生14名である。人工気候室を使用し、避難所を想定した2条件(床面板張り、板張りと段ボール)にて、寝袋を使用した睡眠を行い、筋硬度、睡眠時間、睡眠効率および寝袋内温度を計測し、比較した。筋硬度変化率は、2条件において右大腿二頭筋のみ有意な差がみられた。入眠感、総睡眠時間、睡眠効率は有意な差はみられず、寝袋内温度のみ段ボールあり条件で有意に温度が高かった。今回は筋硬度、入眠感について段ボール有無の影響は明らかにできなかったが、床からの寒冷には効果があったといえる。また睡眠前後の筋硬度変化率について通常の睡眠環境との比較が必要である。本実験は災害時、避難所における睡眠時に段ボール使用の有効性を検討する上で基礎的な資料となりうる。
184-188
田邊素子、小林大介、水野一枝、庭野賀津子、水野康

東北理学療法学26号