本研究ではNull Object Constructionを動詞句削除として分析する二つの先行研究を再考察した。第一はHuang (1988a, 1989, 1991)の分析である。HuangはNOCがVPE in Disguiseであることを提案した。彼は中国語の空の目的語は、英語のVP削除のような性質を持っているということを示している。中国語において、削除される節のdoに相当する助動詞はないが、削除される節の一般動詞が繰り返していることから、英語のdo-supportのように扱うことができると主張している。第二はAi (2006)の分析である。AiはGoldberg (2005)のanimacy素性を採用した。中国語においても空の目的語がinanimateの名詞の時V-Stranding VPEとして分析することができると主張している。Ai(2006)はLi (2002)の分析に反論し、動詞の種類はV-Stranding VPEを決定する要素ではないと指摘した。彼はV-Stranding VPEを決定する要因は空の目的語がinanimateであり、また語用論と統語論のコンテクストにあると主張している。)
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