日本耳鼻咽喉科学会によって、2014年に人工内耳適応基準が改訂されたことにより、小児人工内耳の適応年齢が引き下げられるとともに、両耳装用や重複障害児への人工内耳手術も増加しつつある。本研究では、日本における小児人工内耳に関する現状を整理するとともに、今後の課題について検討することを目的とした。人工内耳手術の適応年齢が原則1歳以上(体重8kg以上)とされたことにより、早期からの聴覚による言語獲得においては以前よりも有利になったと考えられる一方で、人工内耳によって音の聴取が可能になっても就学後の学習面で困難をかかえる事例の報告もあるため、聴力レベルが向上しても、難聴児としての支援は継続していく必要があることが示唆された。また、両耳装用効果のエビデンスの報告はまだ少なく、重複障害児への装用効果の検証方法についても確立されたものはないため、今後検討すべき課題は多いことが明らかとなった。
p95-101