近年、新生児聴覚スクリーニング検査の普及、補聴器の早期装用の促進、そして人工内耳の適用年齢の引き下げ等により、以前と比較して、先天性聴覚障害の早期発見と早期支援が可能となってきた。しかしその一方で、聴覚障害児への早期支援、あるいは保護者への支援においては課題が多い。幼児期はコミュニケーションや言語を獲得して、意思の相互伝達の手段を習得する重要な時期である。また、保護者が子どもの聴覚障害を受容し、適切な親子関係を築くことが、聴覚障害幼児のコミュニケーション発達に必要なだけではなく、将来、聴覚障害児自身が障害を受容してアイデンティティを確立することにもつながる。そのためにも聴覚障害幼児のみならず保護者への早期の支援が望まれる。
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