近年、新生児聴覚スクリーニング検査の普及により、難聴児の早期発見・早期リハビリテーション開始の支援体制が整備されつつある。しかし、その一方で、新生児聴覚スクリーニング検査には精度の問題があることは否めず、日本耳鼻咽喉科学会による平成20年の調査では、新生児聴覚スクリーニング検査で両側Pass(正常)とされた乳児のうち、のちに3%が両側難聴と診断され、一側のみRefer(要再検)とされた乳児では17%がのちに両側難聴と診断されたことが報告されている。したがって、新生児聴覚スクリーニング検査には擬陽性、偽陰性の可能性があること、あるいは何らかの事情により新生児聴覚スクリーニング検査を受検できない乳児も少なからず存在することなどを考慮して、乳幼児期における聴覚のチェック体制について検討をしていく必要がある。
庭野 賀津子、佐々木 あき子、大西 孝志