「観光人類学におけるホスト側の『オーセンティシティ』の多様性について―岩手県盛岡市の『チャグチャグ馬コ』と『さんさ踊り』を事例として―」
祭りの担い手のうち実際のパフォーマー(出馬者と踊り手)が祭りの観光化に積極的に取り組む理由を考察した。具体的には、担い手による多様な「真正性」追求の様相を分析し、「真正性」の解釈と主張の方法が多様であること、盛岡市周辺の農村地区では、農業の経済的地位の低下後、従来保持されていた家格の上下などの地位の構造が崩壊したこと、担い手は観光客や地元市民に対して「真正性」を主張することで、自身の社会的な威信を追及していることを、詳細なデータを用いて分析した。pp.344-365
『民族学研究』第66巻3号、(現『文化人類学』)日本文化人類学会