運動施設を定期的に利用している20名(平均年齢:72.7歳、男性:13名,女性:7名)の糞便を採取し.生活習慣病等の既往歴や体組成のデータを基に、関連性を分析した。腸内細菌叢の解析には末端標識制限酵素断片多型分析法を用い,構成細菌を28のOperational Taxonomic Units (OTUs)に分類した。体組成はインピーダンス法を用いて評価した。全体的には腸内細菌の中でも、Bacteroides属の占有率が最も高く(平均:45±16%)、20名中16名で最も優勢であった。一方、Prevotella属あるいはLactobacillales目の占有率が最も高い被験者が各1名、未分類の菌が最も多い者は2名であった。腸内細菌叢と体組成の関連では、Clostridium cluster IVと体脂肪率(r=0.47, p<0.05)、およびBMI(r=0.51, p<0.05)との間に正の相関関係が認められた。なお、性別、年齢、高血圧の既往の有無と各腸内細菌の占有率には有意差が見られなかった。腸内細菌は腸内内容物の代謝を担っていることから、ある種の腸内細菌叢の構成が肥満に関係している可能性が考えられる。
pp.111-118
河村孝幸、松生香里