論文

基本情報

氏名 河村 孝幸
氏名(カナ) カワムラ タカユキ
氏名(英語) Kawamura Takayuki
所属 健康科学部 医療経営管理学科
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

題名

「沿岸被災地におけるコミュニティ意識の特徴と住民主導型地域活動への参加および認知度との関連性:震災後3年半を経過して」(査読付)

単著・共著の別

共著

概要

地域社会・コミュニティに対する意識や態度は、良好な健康状態を保つ上で重要な基盤となることが想定される。本研究では、地域社会に対するコミュニティ意識と地域活動への参加および認知度の関連について検証した。平成24年度の第一回調査で回答に漏れのなかった65歳以上で要支援・要介護認定者、及び死亡・転居・転出等を除いた高齢者956名を対象とした。調査内容は基本チェックリスト、生活不活発病チェックリスト、地域活動状況、コミュニティ意識尺度、住民主導で普及されている運動(ダンベル体操、ノルディックウォーキング、スクエアステップ、ロコモ予防運動)の実施度・認知度であった。平成26年9月に調査用紙を配布し、有効回答者数は697名(男性381名、女性316名、回収率72%)であった。各地域活動平均への参加率は、就労28.7%、趣味活動22.4%、運動活動22.4%、老人クラブ8.3%であった。コミュニティ意識尺度を構成する4因子の得点は、「連帯・積極性」9.1±3.7、「自己決定」12.2±2.9、「愛着」10.7±2.7、「他者依頼」7.9±3.2であった。75歳未満・以上で比較すると「連帯・積極性」は前者で高く、「他者依頼」は後者で有意に高い値であった。なお、男女で有意差は認められなかった。各地域活動の実施状況とコミュニティ意識尺度の得点を比較した結果、就労有りの群では無し群と比べ「連帯・積極性」と「自己決定」の得点が有意に高く(p<0.01)、趣味活動や運動活動の有無では、4因子全てにおいて活動群が有意に高い値を示した(p<0.05)。地域で普及している運動の1つであるダンベル体操の実施・認知度別にみると、「連帯・積極性」は『実践している』11. 3±3.4、『知っている』9.1±3.6、『知らない』7.5±3.6の順に高く(p<0.01)、一方「他者依頼」に関しては、『実践している』6.6±2.8、『知っている』7.9±3.2、『知らない』8.8±2.9の順に各群間で有意に低値であった(p<0.05)。震災3年半経過した時点で、運動や趣味などを主体とした地域活動に参加している人はコミュニティ意識が全般的に高い傾向がみられた。さらに、コミュニティ意識が高い住民には、行政の支援の下、住民主導で展開している運動が認知されていることが明らかになった。
pp.15-23
河村孝幸、鈴木玲子

発表雑誌等の名称

感性福祉研究所年報 第19号

発行又は発表の年月

201803