好酸球性心筋炎は心筋に浸潤した好酸球の細胞毒性物質により生じる. 今回, 好酸球性心筋炎で重症心不全となった一例に対して心臓リハビリテーションを施行した. 理学療法開始時には, 急性心不全による心ポンプ失調と急性期治療に伴う20日間の安静により著明なデコンディショニングを認めていた. 自覚症状および循環動態の変化, 臨床検査データや治療経過にあわせて, 慎重に理学療法を実施し, 運動耐容能の向上と病棟ADLの拡大を目指した. 第40病日に心肺運動負荷試験(CPX)を施行したところ, 嫌気性代謝域値17.6ml/kg/min, 最高酸素摂取量25.6ml/kg/minと良好な値を示した. CPXの結果をもとに積極的な運動療法とADL練習, 患者教育を行い, 第60病日に自宅退院し, 同年冬に職業復帰を果たした. 今回の経験をもとに, 好酸球心筋炎などの特殊な心不全症例に対しても心臓リハビリテーションを施行していけるように知見と工夫を重ねていきたい.
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澤邉泰, 五安城亜希, 鈴木浩司, 千葉友香, 小野寺可奈恵, 蓼内かおり, 熊谷歩, 沼田拓己, 菅野遥, 高橋香織, 河村孝幸, 吉田一徳