A市では、平成18年度より「サポーター養成型」による自主活動グループの企画・運営を推進しているが、サポーター自身の高齢化や地域の偏在の課題も挙がってきている。介護予防・日常生活支援事業の開始にあたり、多様な健康状態の方が自分の足で通い、地域の互助力を活かした「集い型」自主活動の創設も有効策と思われ
る。そこで、モデル地域で「集い型」に対応した運動プログラムを試行し、参加者の活動に対する心理変化や、自主化へのプロセスを明らかにすることを目的とした。平成28年度に、A市内5カ所の地域包括支援センターと町内会の協力で参加者を募集した。自主活動グループの創設経験のある運動事業者が講師を務め、1回120
分間、隔週で全6~8回の講座を実施した。参加者に対しては、基本チェックリスト(KCL)を講座の前後に、心理変化シートを各回実施した。また、毎回の報告書から参加者の言動、支援者の働きかけ、グループの変化について、自主活動化の促進に寄与する評価指標を基に分析を行った。【結果】5カ所の講座参加者は計133名(男性
12名、女性78名)、平均年齢は76±6歳であった。参加理由は、「体力に衰えを感じた」40~81%、「近い」26~66%、「誘われた」31~60%が多く挙げられていた。KCLの運動機能該当者(3項目以上)が21%、口腔機能該当者(2項目以上)は25%を占めていた。また、プレフレイル相当が18~52%、フレイル相当が4~17%存在していた。心理変化シートの結果から、集いの場への参加や対人関係に関する不安が初回から低く、地域参加の意義を強く感じている方が多く参加していた。また、「病気に対する意識」が回を重ねるごとに、薄れてくる傾向が見られた。報告書を分析した結果、いずれの地域においても、自主グループ育成の促進要因として想定した5つの働きかけについて、参加者の言動や雰囲気を感じ取りながら、適時かつ的確に行っていた。講座終了後は、全地域で住民による主体的な活動継続となった。KCLの運動機能該当数は、講座前後で有意な減少が見られ、特に講座開始時に2項目以上の該当者で顕著な該当数の変化が見られた。その他、うつを除くKCLの合計該当数についても、有意な減少が認められた。【結論】互助力を活かした自主活動グループの形成には、「集い型」に対応した運動プログラムの工夫と、発展段階に適した支援が有効であった。