本会では,2021 年に「歯科訪問診療における感染予防策の指針 2021 年版」を発表し,その後の社会情勢に合わせて 2022 年版の改訂を行い,感染が蔓延するなかでも必要とされる訪問診療が継続されるよう,努力を続けて参りました。 2023 年 5 月 8 日,COVID-19 はこれまでのいわゆる 2 類相当から 5 類感染症へと位置づけが変更になりました。これまでの行政によるコントロールから,個人の選択を尊重し,自主的な取り組みが中心となることになっています。 このことは,歯科訪問診療における感染予防策の指針にもいくつかの変更が必要であることを意味していますが,第 9 波という声もあるように,引き続きスタンダードプリコーションが必要であることに変わりはありません。 今回の改訂では,現行の政府の方針に合わせて,記載を全面的に変更しています。また,オミクロン変異体,N95 マスク,環境表面の消毒,換気,ワクチンなど,歯科訪問診療における感染予防に必要な事項について,最新の知見を基にアップデートしています。主な改訂部位は下線を付して明示しています。本指針は,2023 年版の上梓によってある一定の目処がついたと本会としては考えており,今後の歯科訪問診療における歯科医療従事者と患者の安全のために活用されることを強く希望します。
一般社団法人日本老年歯科医学会 理事長 水口 俊介