論文

基本情報

氏名 菅原 好秀
氏名(カナ) スガワラ ヨシヒデ
氏名(英語) Sugawara Yoshihide
所属 総合福祉学部 福祉行政学科
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

題名

「介護事故と予見可能性について -介護事故裁判例からの一考察ー」(指名依頼)

単著・共著の別

単著

概要

本稿では介護事故裁判において、本人の強い希望と施設側の善意で施設側が刺身などの高級食材を提供した結果、誤嚥になり死亡したケースについて、刺身等の食材を提供したこと自体に施設側の責任が認められた事案がある。この事案を踏まえて介護事故裁判例の予見可能性に関する裁判所の判断基準を分析し、関連する介護事故裁判例を踏まえ、今後の介護事故の予見可能性のあり方について考察を加えた。その結果 施設職員の予見可能性の資質・自覚の向上をはかるための恒常的な組織体制を整え、利用者の人権に配慮した姿勢こそが今後の施設運営には求められるといえる。そのためには、本件事案のような事例の蓄積によって施設職員間に介護事故に対する予見可能性の共通認識や合意形成を図り、利用者の人権を尊重したリスクマネジメントの構築が必要であろう。本件では高級食材という利用者との過剰な接続により、サービスが過剰となり結果的に介護事故が発生したものと考えられる。つまり、過剰なサービスはリスクを高める大きな要因となるのである。しかも対象である利用者が判断能力が低下しているため、リスクが特定しにくく、事故を予見しにくい介護の現場で「管理」責任が問われないようにするためには、「動きすぎない」で、「リスクの予兆」をいかに把握すべきか、施設職員が介護事故という結果が発生する具体的な危険性を予見することができる予見可能性の資質の向上が何よりも求められているといえよう。
総p.10

発表雑誌等の名称

ソーシャル・リスクマネジメント学会会報『実践危機管理』第34号(本稿は、2019年7月20日、大阪市中央公会堂で開催されたソーシャル・リスクマネジメント学会関西部会における報告を一部修正し、記述したものである。)

発行又は発表の年月

201907