著書

基本情報

氏名 菅原 好秀
氏名(カナ) スガワラ ヨシヒデ
氏名(英語) Sugawara Yoshihide
所属 総合福祉学部 福祉行政学科
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

書名

『リスクマネジメントと法』(2021年日本リスクマネジメント学会優秀著作賞受賞)

著書担当区分

単著

概要

日本リスクマネジメント学会創立者である亀井利明先生は「リスクは繰り返す」「リスクは変化する」「リスクは隠れている」とったリスクの三様相により、リスクは千差万別、千変万化するがゆえ、リスク処理の選択の重要性を指摘され、日本リスクマネジメント学会理事長である上田和勇先生は「リスクは頻度と強度を変え、繰り返す」とリスクマネジメントの核心を指摘されている。今現在の社会情勢はまさに予測困難な時代に突入しているように思われる。「リスク」とは未来において生起するかもしれない何らかの損害を現在の時点において見積もることであると考える。つまり、「リスク」とは本来的に知り得ないはずの「未来」について「現在」の「関係性」の中で描写するということである。
介護の現場では「介護リスク」、保育の現場では「保育リスク」、学校現場では「学校リスク」、医療の現場では「医療リスク」が発生している。
このリスクで注目すべき点は、訴訟において、損害を金銭で回復させるという裁判で「見えてくる」損害回復モデルという従来の伝統的司法制度に依拠したシステムから、現代の裁判では、見えてこない「誠実な対応」「謝罪」「再発防止」という行為者の感情的次元にこそ、光をあてて被害者を救済することに主眼があるように思われる。
リスクが発生すると、対応によっては、被害者及びその家族は、穏やかだった表情が豹変し、不満から失望、怒りに変わり、加害者側の過失を徹底的に追及するために、裁判を起こす可能性がある。裁判では、長期化し、精神的な負担が増大し、本来、被害者の自己責任で発生した転倒・骨折でさえも加害者側の責任として追及してくる。保険により金銭賠償をすればいいということだけは済まされないのが「介護リスク」「保育リスク」「学校リスク」「医療リスク」である。
本来感謝されるべき側が裁判に訴えられることは異常なことである。リスクが発生した事後対応を分析し、リスクに対する危機意識と自覚を喚起することを目的としている。
総p.228

発行所

建帛社

発行年月

202004