日本学術会議「大学教育の分野別質保証の参照基準」には、専門分野ごとに「他の専門分野」との関係が説明されている。「他の専門分野」を専門教育に対する「教養教育」と解釈し、文章中の出現度数から、どのような「他の専門科目」分野が、どの専門科目に必要とされているのかを目的とした因子分析おこない、共通項を見つけ出すことで、専門教育に共通に必要とされる「他分野」とはどのような分野であるか考察をおこなった。専門教育には「市民性の涵養」という社会的な要請と、個人の幸福を追求するための能力の育成という、2つの目的が考えられる。そこで分析結果をこの二つの目的との関係で整理した。その結果「市民性の涵養」のために「社会科学」や「哲学」「経済学」「政治学」などを「他分野」として必要としている分野と、専門分野の理解を深めるために「化学」「物理学」「生物学」「数学」「統計学」「工学」「心理学」などを必要としている分野があることが分かった。
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