この研究は社会福祉士養成における、隣接諸科学との関係を明らかにすることと、教養教育との関係を明らかにすることを目的としている。
社会福祉士養成に必要とされる知識・技能は、対人サービスのために必要な医学、心理学、教育学、社会学や、 政策を検討するため政治経済学、法学、行政学、財政学、社会系各論などの導入が必要といわれてきた。またさらに人間理解のためのリベラルアーツ（教養教育）の必要性も指摘されている。このように非常に幅広い教育が求められている点について、実際にどのような科目がどのような学問分野と関係があるのか、A大学における社会福祉士国家資格受験に必要な科目のシラバスの語彙の分析を行った。その結果、政治学、健康・スポーツ科学、法学、経済・経営学、心理学、教育学、看護学、人間医工学、基礎医学・栄養学など、多様な学問分野と実際に共通する内容を含んでいることが明らかとなった。しかしリベラルアーツとしての人文科学については内容的なかかわりが確認できなかった。また教育社会学の大学における一般教養の変遷に関する先行研究より、大学の一般教養の内容が「市民の育成」から「能力の習得」へとその重点を移していることも確認され、社会福祉士養成に必要とされるリベラルアーツ教育の内容に関して、カリキュラムのなかのどの要素に含まれているのか、さらなるる検討が必要となった。
日本教育社会学会67回大会 発表要旨集録pp174-175
