自動運転車いすの障害物検出機能を実現するための コンピュータビジョン技術に関する研究と実装

本報告では、電動車いすの安全性を向上させることを目的に、クルマと同じような安全運転支援システムを実現するための要素技術として、最新のコンピュータビジョンについて調査を行った。その上で、その応用である物体検出機能を実装し、機械学習を行った。その結果、全体のmAP（mean Average Precision）は0.526と低い結果となった。その理由として学習に用いた画像の枚数が不足していたことが考えられるため、今後は枚数と種類を増やす必要がある。次に、単眼カメラによる距離推定機能を実装した。その結果、2m ～ 4m の距離ではほぼ正確に距離推定できたが、それ以外の距離では精度が悪かった。
今後は、安全性を確保するためにステレオカメラやRiDAR等のセンサ利用を検討する必要がある。最後に、開発した電動車いすの走行実験を行った。その結果、前方に障害物を検知すると衝突せずに安全に停止することができた一方、処理が追いつかずに衝突してしまうこともあった。

感性福祉研究所年報　号 24, p. 67-89, ページ数 23