現在、特養をはじめとした高齢者福祉施設で使用されている車いすの多くは、今から60年以上前に海外から輸入された「移動車」であり、病院などで一時的な搬送を目的に使用するものである。そのため長時間の使用に適しておらず、姿勢の崩れや褥そう等の二次障害を生み出す原因となっている。また、入所期間の長期化及び重度化が進行する特養においては、身体機能に何らかの障害を有する”障害高齢者”数が増加しており,障害や身体状況の変化に応じた調整が随時可能なモジュラー型でアジャスタブル機能を備えた車いすが望まれる。しかし、調整可能な製品の多くは、海外仕様で高価でサイズも大きい。我々は、2009年4月から現在までに特養の車いす利用者約20名に対して姿勢保持を含めた車いす適合(身体・生活)支援を実施してきた。その中で、国外車いすを含めた現状の車いすでは、大きさや調整範囲等の問題から高齢者に望まし適合状況を作りあがるには限界があることが明らかとなった。本事業では、特養で障害高齢者を対象に用いることを前提とした新たなモジュラー型・アジャスタブル機能付き車いすの在り方について検討・開発することを目的とする。また、本事業で開発した車いすを用い、特養ケアワーカーを対象とした車いす活用実践教育プログラムの実施を試みる。