障がい者の市民啓蒙活動、ハウスメーカー総合研究所内の体験コーナーにおける社員教育や住宅建築希望者の疑似体験など国内外において幅広く使用されている。しかし、我々の調査結果によれば現状の疑似体験用具は、高齢者や身体障害者に関する適切な体験を習得することが不可能であり、誤った利用者理解へつながる可能性がある。そこで、現状の疑似体験用具の問題点を客観的に把握した上で、新たな要素を付加した疑似体験用具の開発を行う必要があるとの考えに至った。本研究では、高齢者及び身体障害者に関する動作分析データをもとに従来の静的な機能とは異なる、動的要素を含んだ新たな疑似体験用具の開発を行う。高齢者および身体障害者の日常生活全般に関わる移動動作に着目し多角的分析を行い動作の特徴を明らかにする。また、市販の疑似体験用具を用い健常者を対象とした同様の分析を行う。得られた結果をもとに現状の疑似体験用具の問題点を把握するとともに拮抗筋の同時収縮作用などの動的要素を含んだ新たな疑似体験用具の開発を行う。最終段階では、新たに作成した疑似体験用具を用いたフィールドテストを行い使用上の具体的問題点についても明らかにする。