本研究では、認知症者の家庭用品管理に着目し、国内で入手可能な探し物発見器(以下、発見器とする)を用いた臨床介入を行い、発見器の導入方法と対象ケースを明らかにする中で、発見器導入の有効性を検証することを目的とした。過去の研究結果をもとに、①探し物は、普段の生活で本人が基本的に管理・保管している物で、現状のタグ形状で問題のない大きさの物、②被験者は、日常生活において探し物で困っているCDR-1以下の(発見器の効果を理解できる)在宅認知症高齢者、③導入期間は6ヵ月とし、定期介入により発見器の使用状況、発見器の利点・欠点等を長期間にわたり評価可能な3名のケースを対象に発見器の導入を行った。その結果、導入6ヶ月後には、生活全般の探し物の回数が減っており、発見器導入による認知症者の生活支援の有効性が示唆された。また、発見器の利点は、探し物が見つかること以上に「安心できる」点が評価されており、心理的な負担軽減の効果が示された。
pp.218-224
関川伸哉,石渡利奈